私の歩き方

私の日々の徒然

地震の後。電気のない間のできごと。

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北海道の胆振地方で震度7地震があった。

北海道全体が大規模な停電に見舞われ

復旧までに数日かかった。

ブラックアウトと呼ばれる現象らしい。

 

直後から停電になり

最初は地震の恐怖心が大きかったが

テレビも電話も全く使えず

携帯電話も時間を追うごとにどんどん

ネットワークに入れなくなる。

情報から切り離されていく恐怖心があった。

 

電気がないと、人や情報と繋がらない感覚。

人との繋がりまでも

いかに電気に頼っていたかと

改めて自分の人間力低下に気がついた。

 

まずは、と風呂やバケツに水を溜める。

そんな中、防災用のリュックの中に

以前貰った携帯ラジオがあったのを

急に思い出した。

 

リュックを開けると

賞味期限が2年前のクラッカーの缶詰と一緒に

手巻き式の携帯ラジオが出てきた。

 

ハンドルをぐるぐるしていると

ラジオの先端の電球が灯り、懐中電灯になる。

当然、ラジオも聞ける仕組みになっている。

平成17年製なので、その当時のガラケー

充電ができるようだが

現在のスマホは全く充電できなかった。

 

携帯電話はすでに情報が見れないうえに

たまたま見れても震災の情報を

検索するには時間がかかる。

 

ましてや、「小樽」に限定した

地元の情報なんて、タイムリーに見るには

どこを検索して良いのか分からない。

 

ラインからは、本当かウソが分からない

色々な情報が流れてくるので取捨選択。

facebook地震前の投稿が

タイムラインで流れている。

 

SNSは災害直後の安否確認などには適しているが

情報収集には向いてないことを実感。

 

ラジオのハンドルをぐるぐる回しながら

窓際に立ってアンテナを伸ばすと

ザアザアと雑音の中に

急にクラッシクの音楽が流れてきた。

チャンネルを変えるうちに

FMおたるにつながった。

小樽の地震後の情報を読み上げている。

 

手を動かしながら、ラジオの声に耳を澄ます。

急に電波が途切れて聞こえなくなったり

違う局に繋がったりしながらも

何度もFM小樽を探して情報を聞いた。

なんとも言えない安心感。

少しでも時間があればハンドルをぐるぐる回して

色々な局を聞いてみた。

 

夕方、近所を買い物がてら歩いた。

歩いているとご近所さんも歩いていた。

声をかけて軽く情報交換。

スーパーでも列に並んでいる間

前に立っている奥さんと情報交換。

 

子どもの友人が遊びに来て

子ども同士で何やら、情報交換している。

なんの損得もなく、お互いに必要なモノやコトを

交換していた。

 

人との繋がりは大人より子供の方がよっぽど出来ているかも。

 

町を歩くと

何時ものようにトラックが配達していたり

給水場面に遭遇したり

何時もより外遊びしている子供が多かったり

車からラジオの声が良く流れてくる。

 

暗くなる前に部屋の片づけをした。

暗くなると足元が見えない。

「片づけなさい」と子供の頃に言われていた意味がよくわかる。

部屋が散らかっていたら、怪我をするから。

 

暗くなると懐中電灯として

明かりを灯しながらラジオを聞いた。

どこで復旧した

どこで給水している

避難所はどこで、明日はどうなる

聞きたい情報を

色々なラジオ局から聞くことが出来た。

そして合間に流れる音楽。

クラシックや演歌はあんまり…

懐メロに元気が出た。

 

夜、蝋燭やランタンを灯して

子供たちとひとしきりウノで遊んだ。

子どもたちはここぞとばかりに火をつけたがる。

 

寝る前に、近所の様子を知りたくて窓の外を見る。

驚くほどはっきりと天の川が見えている。

子どもたちは、見たことのない夜空に大喜びで

外に出ていつまでも眺めていた。

 

翌日も電気は復旧せず

いよいよラジオしか情報を得る手立てがない。

朝からハンドルをぐるぐるしながら

冷蔵庫のものを片っ端からコンロで料理。

普段より、料理している。

 

会社は電気が復旧していたので

出勤して情報収集をした。

 

会社に行くとテレビがついている。

初めて自分たちの状況をテレビで知る。

 

テレビを見て初めて分かったこと。

テレビの情報って、意外と少ないこと。

衝撃的な映像で、視覚的に災害情報は伝わるけど

被災した人が欲しい情報は

放送されていない。

 

テレビを少し見て、映像欠乏症から解放される。

会議でひとしきり会社の状況を把握。

車で札幌に行くことになり

車中でずっとラジオを聞く。

 

やっぱりラジオだ。

今欲しい情報

どこの店がやっている

どこのガソリンスタンドが営業いている

今できる対策

被災時の節約方法

困った時でも美味しいレシピ

元気がでる音楽

応援メッセージ

 

各局のカラーもある。

FM小樽は地元密着の情報。

AIR-Gは札幌中心のお役立ち情報

ノースウエーブは気持ちが上がる音楽

 

車中から見える景色は

異様なほどスタンドにならぶ車

駐車場から車があふれるコンビニ

電気の消えた信号機

電気の消えたスーパー

 

被災したんだと分かっていたけど

実際に目にしてみると

いつか復旧するだろうという

甘い見通しと相反する不安感が襲ってくる。

 

途中のコンビニに車を止めて中に入ると

お菓子や日用品以外の棚はガラガラだった。

こんな時でも店員さんが制服を着て

丁寧に接客ししていたのを見て異様に感じる。

 

公衆電話が無料解放されており

公衆電話の前に順番待ちしている人が並んでいる。

高齢者だけではない、若い人もおじさんも、おばさんも並んでいる。

公衆電話の必要性を実感。

 

暗くなる前に帰宅。

職場から何度か自宅に電話するけど繋がらない。

帰宅したらまだ停電している。

小樽市内はスマホが圏外なので

またしても情報難民。

でも昨日より不安はあまり感じない。

 

家では子供たちが工作やウノで遊んでいた。

久しぶりにレゴも出して遊んでいた。

話の内容も

何時もはYouTubeの話題が多いのに

今日は「次はあれを作ってみたい」と工作の話が多い。

 

隣の奥さんが玄米おにぎりとカット野菜を

差し入れしてくれていた。

子どもたちはペロッと食べていた。

こんな時に差し入れできる、素直に感謝。

こんな時だからこそ、美味しさも倍に感じる。

 

暗くなりラジオをぐるぐるしながら情報収集。

子どもたちの好きな音楽が流れると

懐中電灯と蝋燭の明かりの中

子どもたちはノリノリでダンス。

昨日より今日は

なんだか色々な音楽が聴きたくなる。

好きな音楽を探して選局をする。

 

昨日より疲れたのか

暗くなると、自然と眠たくなる。

ランタンの灯りの中でウノをした後は

すぐに寝ることにした。

 

まだ9時。

いつもなら、パソコンでブログを書き出す時間。

地震に備えて準備をした後は

布団にすぐに横になる。

 

急に

「電気着いたよ」という声で、目を覚ます。

目を開けると寝室の電気が煌々とついている。

電気が付いた。